紫外線の強い季節や時間帯にサングラスなどによる眼の紫外線対策をしないで、長時間屋外で過ごすと紫外線関連眼疾患に罹患するリスクが高くなります。
紫外線関連眼疾患には急性のものとしては紫外線性角膜炎・結膜炎、慢性のものとしては瞼裂斑、翼状片、老眼、白内障などがあります。
紫外線性角膜炎・結膜炎は紫外線を浴びてから数時間以上経過して発症する眼の充血や痛みが特徴で、誰しもが経験しているはずです。
瞼裂斑(けんれつはん)は沖縄などの紫外線の強い地域では、小学生でも発症します。黒目の両脇にシミのように見える部分が瞼裂斑で、紫外線を沢山浴びてきた証拠でもあり、将来、他の紫外線関連眼疾患に罹患するリスクが高いことを示しています。
翼状片(よくじょうへん)は白目の一部が黒目に侵入してくる疾患で、放置すると失明に至ることもあります。沖縄では40歳以上の30%程度で発症しているとの研究もあります。紫外線を浴びないと発症することはほとんどない疾患なので、眼の紫外線対策が予防に非常に有効です。
老眼は眼のなかでレンズの役割をしている水晶体が硬くなり、ピント合わせが出来なくなった状態です。水晶体が濁る病気である白内障の前駆病変であり、老眼が進行すると白内障にかかっていることも少なくありません。紫外線を長期間浴び続けると30代後半から老眼になり、40代で白内障を発症することもあります。
ポイントは3つあります。
一つは顔の形状にあったサングラスを選ぶことです。顔とサングラスの隙間から眼に入る紫外線を出来るだけ少なくすることが重要です。ゴーグルタイプやテンプル(つるの部分)の太いサングラスが効果的です。
二つめはレンズの大きさです。レンズが小さいものはどうしても顔とサングラスの間の隙間が広くなってしまうので、大きめのレンズの方が、紫外線に対する防御効果が大きくなります。
三つめはサングラスのレンズの色の濃さです。色が濃すぎるレンズは可視光線(眼に見える光)の透過率が低くなるため、明るいところでもレンズを通して眼に入射する光の量が減るので、瞳孔が開いてしまいます。瞳孔が開くと、レンズと顔の隙間から眼に入る紫外線が、開いた瞳孔を通過して水晶体まで到達しますので、白内障のリスクが増えることになります。使用する目的にもよりますが、やや色の薄いサングラスを選ぶのが良いと思います。
現在のサングラスは、ほとんど紫外線カット効果がついていますが、購入する場合はその有無を確認することは重要です。
レンズの質が良いものを選ぶことも重要です。安価なサングラスはレンズに歪みがある場合もあり、見え方の質が悪くなるためお勧めできません。
紫外線が非常に強い環境下では、サングラス単独で使用するより、帽子を併用することで、眼に入る紫外線を99%程度カットすることができようになり非常に有効です。
近視や遠視の方は度付きのサングラスにするか、紫外線カット機能付きの使い捨てコンタクトレンズと通常の度なしサングラスを併用すると良いと思います。
佐々木 洋(金沢医科大学)
- 1987年
- 金沢大学 卒業
- 1987年
- 自治医科大学眼科学教室 入局
- 1991年
- 米国オークランド大学眼研究所 研究員
- 1993年
- 自治医科大学眼科学教室 助手
- 1996年
- 金沢医科大学眼科学講座 講師
- 2005年
- 金沢医科大学眼科学講座 教授
- 2007年
- 中国医科大学 客員教授
- 2009年
- 東北文化学園大学視覚機能学専攻 客員教授
- 2018年
- 特定非営利活動法人 紫外線から眼を守るEyes Arc 理事長